ベンチで夢を

2017.07.28

しばらく前に、京王線に新しい木製ベンチが導入された。
なかなか座り心地もよい。
よく見ると写真のように「多摩地域の間伐材を利用しています」との焼印がついている。
これも地産地消の一環なのだろう。

ご存知のように日本の国土は山がちで、66%が森林である。
資源が少ない日本では、森林資源は珍しく潤沢な素材で、水の保全にも欠かせない。
しかし、そのうち木材(パルプ用チップを含む)として活用されるのはわずか30%に過ぎない。
安価で供給が安定している北米産や南洋材、欧州材などの輸入木材がほとんどを占める。
特に、戦後に植林されたスギやヒノキが使われないまま放置され、春になると花粉を放出しては人々を悩ませている。
この夏の水害でも根こそぎ流されて下流の被害を拡大した。

ちなみに成長しきった樹木は二酸化炭素をほとんど吸収しないため、CO2削減には役に立たない。

もし国内の木材が適度に活用され、若木が植え続けられれば、盛んにCO2を吸収し成長してくれる。
そのためには国産木材の用途拡大に加えて、消費を促進するためのコスト圧縮への努力と工夫が欠かせない。
輸入材の方が使いやすいうちは、状況は変わらないだろう。

最近は、ベンチのような間伐材の利用だけでなく、木材からリグニンという成分や、セルロースナノファイバーと呼ばれる素材を取り出して、プラスチックや構造材などにする研究開発も進んでいる。

ちなみにセルロースナノファイバーはボールペンインクの潤滑剤に使われている。インクのダマができにくいらしい。
木材をより工業的に使い勝手の良いマテリアルへと変身させるのだ。
放置された森林資源が、再び持続可能な宝の山へ変身する。

ベンチに座りそんな夢を見た。



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