SOHO社長の体験記

あえて「小さな会社」のまま 水平飛行の道を選ぶ 

永田さんが一般向けにレンズのことを解説した本。
 

- その後は順調に売上を伸ばしていかれましたが、会社の規模は拡大されませんでしたね。


永田
売上が伸びて、2000年に現在の三鷹産業プラザのオフィスに引越しをしました。そのときに「人を増やしてもっと売上を伸ばし、会社を拡大していくのか」、それとも「自分で設計をし小さい規模でやっていくのか」を考えました。そして悩んだ末に、後者を選んだのです。

- それはどうしてですか? 一人でこなせる仕事量には限界があると思うのですが。


永田
私はもともと組織が苦手なのです。組織にはどうしても個人を犠牲にする側面があり、個人と組織の軋轢が私には大きなストレスになります。大日本スクリーンに入社したときは、一生勤めるつもりではありましたが、「可能なら組織に頼らず、個人でやっていきたい」という気持ちがありました。
もちろん、金銭的な成功は魅力です。でも、もし人を増やしたら、その苦手な組織を自分が運営し、軋轢に苦しまなければなりません。考えに考えて、「組織の中で思うとおりにできないストレスに苦しむよりは、好きな設計に専念してストレスなしでやっていくのが自分の幸せなのだろう」と結論を出しました。
会社を大きくしないことにしたのは、結果として正解でした。 事業規模を拡大するのが世間の常識かもしれませんが、私はある程度の売上や利益を確保したら、水平飛行でずっとやっていくことを目指しているのです。





プロフィール

永田信一さん 
[ 株式会社レンズ屋 代表取締役社長 ]

永田信一さん 天文が好きだったことからレンズ設計の道に進む。名古屋大学理学部物理学科卒業後、大日本スクリーン(京都)に入社する。ここでレンズ設計の腕を磨き、独立を前提に東京の目白プロビジョンに転職。1997年に三鷹の自宅で起業した後、1998年にSOHOパイロットオフィスに入居。現在は、三鷹産業プラザに事務所を構える。

(取材:萩谷)